元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
今まで何度もアレクに他の女を迎えるよう提言してきた。
その度に彼は私以外は必要ないと言ってきた。
その言葉は私を喜ばせたが、同時にプレッシャーにもなってきた。
カイザーは皇位継承権を放棄しているが、本人とアレクが望めば彼が皇位を継ぐことが可能だろう。
「モモ、本当にすまなかった。俺は償いようもない過ちを⋯⋯」
アレクが立ち上がり私をそっと抱きしめてくる。
彼は意外と感受性が豊かで私が苦しい気持ちになるとその気持ちを受け取るように目を潤ませる。
私は泣いている顔を隠そうとする彼の頬を包み込んだ。