元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

34.私が老いて醜くなっても?

「本当に私だけを思い続けてくれますか? この先、私が老いて醜くなっても?」

 彼の頬を包み込みながら伝えた自分の声が驚く程、震えていた。
 美しさという武器を失えば、犬のモモであった時のように粗末に扱われそうで怖かった。


「モモ⋯⋯確かに、君は美しい。だけれど、俺が愛しているのは君の繊細で傷つきやすい純粋な心なんだ。いつも陰で俺のために動いてくれているって知ってるんだぞ。君は尖って見せているが、とても優しい人だ。君がどのような姿になっても、たとえ犬でも愛している」

 アレクは私が過去に犬だったことを知らないのに、まるで全てを知っているかのような言葉を伝えてきた。


「アレクが他の女と一緒にいるのは本当は嫌です。カイザーが成人したらすぐに譲位し私と2人長いお散歩に出かけませんか? ずっと、2人きりだと退屈するかもしれませんが⋯⋯」
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