元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。


「ベッドもふかふか、ネグリジェーもさらさら」
 私は夢にまで見た人間になったのに、今まで何をしていたのだろう。
 
 森の中をひたすらに寒さに耐えながら歩いてルイの影を求めた日々を思えば、このようなな幸せな時が来るとは想像もしてなかった。

「私は、本当に幸せだ⋯⋯」

 そう呟いて目を開けると、私を見下ろすアレキサンダー皇帝と目があった。

(私の聴覚でも全く彼がいたのがわからなかった! この人、気配を完全に消せる)
 
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