元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
「皇妃殿下ができる事は何もありません。今日は下がらせてもらいます」
私がおかしな質問をしたせいか、クレアを戸惑わせて気を遣わせてしまった。
私は夢にまで見た人間になれたのに無力感に打ちひしがれた。
マルテキーズ王国にいた時、父や兄を支えたように政治的な面で陛下の役に立ちたい。
しかし、警戒されているだろうから、相当信用を得てからでないと仕事を任せてもらえないだろう。
犬の記憶が蘇った私は鋭い嗅覚と聴覚を持っている。
その能力も活用して陛下の役に立てないだろうか。
人間としては特殊な能力である以上、自分自身で彼の為に何ができるか考えなければならない。
私は今度こそ利用されたり、捨てられたりするのではなく手を繋いで貰える家族になりたい。
朝食が終わって、何の制約もなかったので私は庭園に出た。
ここの庭園は本当に美しい。
マルテキーズ王国では見たことのないような花が沢山ある。
色とりどりに様々な種類の花が植えられていて、見ているだけで楽しく庭師のセンスを感じた。
きっと、取り寄せて見栄えの良いように庭師がデザインしたて庭園だ。
私はルイのお母さんがルイに花の名前を教えながら、散歩していたのを思い出してた。
(アマリリス、ペラロゴリウム、フランネルフラワー、ペチュニア⋯⋯)
ルイのお母さんのお陰で私も花に詳しくなった。