元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

6.パートナーなのに色も合ってない⋯⋯。

「姫様、お会いしたかったです」
「ルミナ⋯⋯会いたかった」

 やはり、アレキサンダー皇帝は優しい方だった。
 私の我儘を聞いて、ルミナを呼んでくれた。

 レイ・サンダース卿が処刑され、ルミナはどうしているのか心配していた。

「ルミナ⋯⋯私、ここでアレキサンダー皇帝の妻として暮らすつもりなの」
 マルテキーズ王家の意向に逆らおうとしている私を彼女はどう思うだろう。
 私は彼女を勝手に母親のように思っているが、彼女は王家が雇ったメイドに過ぎない。

「姫様、ルミナはいつも姫様と共にいます」
「ありがとう。じゃあ、早速準備にかかるわよ」

 支度を終えて舞踏会会場に向かう途中、何人かの貴族令嬢とすれ違った。
 私は淡い水色のシンプルなロングドレスに、髪を下ろしていた。

 しかし、バラルデール帝国の貴族令嬢は髪を結い上げ、サファイアやルビーといった宝石の髪飾りをつけている。

 ドレスも赤や緑といったハッキリしたもので、贅をつくすように宝石がまぶしてあった。

(どうしよう⋯⋯陛下のパートナーとして出席するのに質素過ぎる)
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