元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

7.それに雌犬って何で陛下がそのことを知って⋯⋯。

 「どうぞ、お座りください。今、紅茶を淹れますね」

 ジョージア・プルメル公子に案内されたのは、広い応接室のような場所だった。

 壁にパラルデール帝国の歴代皇帝の肖像画が飾ってあって、置いてある調度品も一目で一流のものと分かる。

 (このような場所で対応をするのは国賓級の方なはずだわ⋯⋯)

「私を訪ねてきた遠方からの来客とはどなたでしょうか?」

 私は不安で仕方がなかった。

 私はバラルデール帝国に来てから、1度も父や兄に便りを送っていない。
(私が死んでも良い⋯⋯そんな風に捨てた人たちとはもう関わりたくない)

「あれは、嘘です。ただ、皇妃殿下が今日まで意識が戻らなかったと聞いていたので、体調が心配になりお休みになって欲しかっただけです」

 思わず安堵のため息が漏れた。
 そして、初対面の私に親切にしてくれたジョージア・プルメル公子に好感を持った。
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