元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

8.俺は彼女に何を言った?(アレキサンダー視点)

 モニカ・マルテキーズはいつも俺を緊張させた。

 淡い水色のロングドレスで現れた彼女は誰にも見せたくないくらい美しかった。
 ゴテゴテと宝飾品で着飾り、自分たちを少しでも美しく見せようと必死な貴族令嬢たちが滑稽に見えた。
 
 皇妃の艶やかなプラチナブロンドの髪が、ステップを踏むたびに揺れてキラキラ揺れて見惚れた。

 大勢の人間が舞踏会会場にいるのに、俺には彼女しか見えなかった。
 俺にそっと体を預けながら踊る彼女を愛おしく思った。

 しかし、そんな夢のような気分に浸れたのは束の間だった。

 俺とのダンスが終わるなり、彼女は他の男と連続して踊り出した。

 体をくっつけて、見つめあって、まるで恋人同志のようだ。

 彼女はそうやって相手を誤解させて、籠絡する天才なのだろう。
(俺も危うく騙されるとろだった⋯⋯)

 そして、カイザーに何か声を掛けたかと思うと、よりによってレイモンド・プルメル公爵の息子ジョージア・プルメル公子と舞踏会会場を出ていった。

「皇妃殿下はプルメル公子と休憩室に向かわれたようです」
 侍従が耳打ちしてきた言葉に脳が沸騰するのを感じた。
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