元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
「ジョージア・プルメル公子、余の妻の体に勝手に触るな。無礼だぞ」
「それは失礼致しました。陛下が皇妃殿下を妻として扱っているとは、とても見えなかったもので、そのような注意を受けるとは心外です」
ジョージア・プルメル公子の挑戦的な目に一瞬苛立つも、俺は他の男が皇妃に触れているのが許せず彼女をさっと受け取った。
公子と挨拶以外でまともに会話をするのは初めてだが、父親以上にムカつく男のようだ。
プルメル公爵家とは本当に目障りな貴族家だ。
代々帝国の宰相職について行政を司っているせいか、まるで自分たちが皇家と同等と勘違いしているような気さえする。
羽のように軽い彼女は本当に天使のようだ。
そして、苦しそうな顔で目を瞑っている。
彼女は3時間前まで、1週間も目を覚まさなかったのだから当然だ。
そんな体調の中、舞踏会に出てカイザーにお祝いを言ってくれた。
また、言いようのない彼女に対する愛おしさが込み上げてきた。
彼女が目を覚ますまで、きっと俺は彼女からまた離れられないだろう。