元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

13.皇妃に毒を盛った貴方のことを陛下に報告しなきゃね。

 私はアレキサンダー皇帝に幻滅されてしまったのだろう。

 陛下はあれから一度も私と食事をしてくれない。

 会いたくて謁見要請をしても断られている。
 日課で陛下が通るだろう道で待ち伏せしても、会うことができない。

 私は完璧に避けられていた。
 男性に追いかけられる事はあっても、避けられる事は初めてだった。
 それだけ私が陛下にとって、無理な存在になってしまったと言う事だろう。

 何がいけなかったかは分かっている。

 帝国の皇帝の妻であるのに、花嫁修行の基本である刺繍をろくに習得していなかったのを見られてしまったこと。

 自分が役に立つことを陛下にアピールしたいがあまり、彼の母君の国葬で政治的な行動をしようとしたことだ。

 結局、陛下はカイゼル・レンダース伯爵を切った。
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