元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
「無知は大罪」は自分への戒めだ。
私が皇宮で食べていた料理にはスレラリ草の毒が使われていたようだ。
私にバラルデール帝国の知識が不足していたばかりに、自分の体を危険に晒してしまったかもしれない。
誰がスレラリ草の毒を盛ったかなんて、容疑者が多すぎて今は考えている暇はない。
私は自分の愚かさを反省して、今度こそ間違わないように気をつけながら前に進むだけだ。
「虫が入り込んだのかもしれません。その⋯⋯ここは、外ですので⋯⋯」
まだ弁明をしてくるマリリンに呆れてしまった。
「そうですか、この季節にコオロギが入り込むなんて不思議ですね! そして、ここにいる皆さんは自己紹介もできないのですね。バラルデール帝国の貴族令嬢の程度がしれますわ。でも、問題ないわ。私は全員把握しています。皆、皇妃への毒物混入未遂でお家が大変なことになりそうですね」
毎回、同じメンバーでお茶をしているなんて仲が良いのだろう。
きっと何の役にも立たない話をして、何の生産性もない時間を過ごしている。
そのような彼女たちを少し羨ましく思うけど、同時に愚かだと感じる。
愚かなまま人の役に立たずに、幸せになったり愛されたりすることは絶対にない。