元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。
俯いたマリリンとカリーナ以外の2人の貴族令嬢は自分の家のやっている後ろめたいことに気がついているのだろう。
彼女たちは私に指摘されるのが怖くて目を逸らしている。
着飾って身分の高さで人を見下している彼女たちの家も、皇家の財産を掠め取っている。
きっと、前世は泥棒一家だったのだろう。
毎月、少しずつ掠め取って罪悪感も感じていないだろうが、10年単位にすると罰則を与えられるレベルになる。
そのような事は割とどこの貴族家でもやっていたりする。
だから、貴族を陥れるのは簡単だ。
泥棒の汚名で、領民の不満を煽る。
領民は今まで口を閉ざしていた、言えなかった領主の罪を皇家に密告する。
1割の貴族よりも9割の平民を大切にするポーズを見せた方が上手くいくという考え方は父のものだった。
マルテキーズ王国の平民たちは父が徴兵を科しても、当然ランサルト・マルキテーズの為に命をかけて戦うようになった。
実際は平民の暮らしはなんら変わっていない。
徴兵の義務ができただけで、窮屈になったとも言える。
しかし、偉そうにしていた貴族を懲らしめてくれた国王に平民は忠誠を誓う。
頭を使わないと、どんどん誤魔化され搾取されてしまう。