元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。

15.ジョージはどのような下心があって、私に近づいたのですか?

 皇宮に戻る為に馬車に乗ろうとすると、早い足音が風を鋭く切って近づいてくる。

「モニカ、お願いです。少しだけでも話させてください」
 私を追ってきたのは、ジョージだった。

 汗を流し、必死に私に纏わりつくような子犬のような目をしている。
 このような状態の彼の申し出を断れるわけもなかった。

「分かりました⋯⋯」
 私は彼と馬車の中で話すことにした。
 誰かに見られたら誤解されるかもしれないので、カーテンを閉めた。

「まず、姉上の無礼をお詫びさせてください。それから、僕が父を切ります。僕も来月には成人します。僕が公爵になる形で、どうか許しては頂けませんか?」

 わざと私は「断頭台」という言葉を使って聞き耳を立てているジョージを刺激した。

 状況証拠だけで自信はなかったが、やはりレイモンド・プルメル公爵は先皇陛下を暗殺している。

 皇族殺しなのだから、当然一族もろとも断頭台行きだ。
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