元捨て犬の私が暴君の愛され妻になりました。


「すみません⋯⋯ジョージには友人でいて欲しいです。私、本当は今日も新しく友人ができるんじゃないかと期待していたんです。それなのに、また孤立する行動をとってしまいました」
 
 私は悩みを聞いてくれる友人も家族もいたことがない。
 ジョージのように、私のことを見ていたと言ってくれた人は初めてだった。

「僕がいます。モニカ、僕が貴方を孤立などさせません。僕はモニカのことが好きだから、どのような時も貴方の味方です。もし、今の場所から君が逃げ出したくなったら、僕は身分を捨ててでも貴方ついて行きます」

 彼の言う「好き」の意味は敢えて、聞かなかった。

 男女の好きではなく、友人としての好きでなければ私は彼と離れなければいけないからだ。
 
 私には恋というものが分からない。

 恋のような好意を向けられると、すぐに相手を利用できると考えてしまう。
 恋という感情は脳の判断能力を酷く鈍らせるからだ。

 ジョージは私にとって特別な人だ。
 私は彼を利用する女にはなりたくない。
 彼には仲の良い友人として、ずっと私に接して欲しい。
 
 

 
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