愛
「はぁ。今月も萌え〜」
教室にある自分の席に座り悶えながら読書をする女子生徒、山田日美子。
「やっぱりくっつくのかなぁ?」
どこにでもいる普通の…
「太郎と清」
腐女子である。
腐った女子と書いて腐女子。
何とも失礼な名前だがこれはBL、つまりボーイズ・ラブをこよなく愛する女子を意味する名称だ。
日美子はBLをこよなく愛する愛らしい腐女子なのだ。
「日美子。漫画読み終わったの?」
「あ、梅ちゃん。うん!今月も萌えだったよ!」
「そう。じゃあ、お弁当食べよっか」
「うん!」
日美子に話し掛けてきたのは津田梅子。
日美子の幼稚園からの幼なじみで親友だ。
クールな外見にさっぱりとした性格が受けるのか男子にはよくモテる。
「日美子好きだね。こういうの」
梅子はチラリと日美子の机の上に置かれた漫画を見て言った。
「うん!何か萌えっ!って感じが堪らないんだよね」
やや興奮気味に語る日美子を梅子は「可愛いなぁ」と思い、目を細めた。
「あ、ヤバっ。あたし今日日直だったんだ!」
少し離れた所で女子が頭を抱えて座り込んだ。
黒板の日直のところには、その女子の名前と……
宮本と書かれていた。