陽が暮れかけた頃の教室はオレンジ一色だった。

「今日は体育があって、数学があって…」

日誌に熱心に今日の時間割りを書き込む日美子もオレンジに染まっていた。

なぜ日美子が日誌を書いているかと言うと……


「ねぇ、日美子!あんた宮本君怖くないよね!?」

「?うん。どうしたの?」

日直の女子が涙目で日美子に縋り付いた。
日美子はその女子のがっつき方に少し引いたが小さく頷いた。

「じゃあさ!今日、日直代わってくれない?お礼は今度するから!ね!」

女子は日美子の手を両手でギュッと握り、お願いオーラ全開で日美子に頼み込んだ。

「うん、いいよ。じゃあ、今度駅前のケーキ屋さんのケーキ奢ってね!」

「もちろん!じゃあねっ!」

日美子が承諾してくれたのを確認すると女子はカバンを掴むと慌てたようにさっさと帰って行った。


これが日美子が日直をする羽目になったいきさつだ。

日直の仕事が意外に大変だという事に気付いた日美子だが頼りの梅子はバイトで学校にはいない。

仕方なく日美子は一人でほとんど全ての日直の仕事をした。
日直の相方である宮本の姿は朝から一度も見かけていない。

「よし!日誌終わった!あとは黒板消すだけだ」

日美子はようやく日誌を書き終えると席を立ち、黒板を消し始めた。
黒板には7限目だった日本史の説明文がつらつらと黒板ギッシリに書かれている。

そのため、消す作業は割りと小柄な日美子には一苦労だった。

日美子が黒板相手に悪戦苦闘していると後ろのドアがガラッと開いた。

そこには………
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