「とにかく!教室行くぞ!次、体育だから」

「体育って何するんだったっけ?」

「バスケ」

「……サッカーに変更させてこい」

「……は?」

突然の武蔵の発言に信長は目を見開いた。

「だから!サッカーに変更させてこいって!」

「え…ってか武蔵、バスケ好きじゃん」

「今はサッカーがしたいんだよ!」

この時、信長はピンと来た。
武蔵は昔から苛々した時や悩み事がある時は必ずサッカーをやりたがる。
ボールを思いっきり蹴るとスッキリするからという理由だ。

「何かあったのか?」
と聞きたかった信長だが武蔵が素直に話すわけがないと分かっているため、「分かった」と一言言うと屋上を後にした。

屋上を去る信長の背中を見送った武蔵は頭をワシャワシャと掻きながら再び青空を仰いだ。
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