お見合いの場で「おまえは好みではない」と言われた令嬢の攻防戦
「あきらめろ、キャス。俺はおまえを手放す気はない」
「普段の私のままでいいと言うのであれば、私もおまえを受け入れよう。いや、受け入れるしかないようだな……」
 キャスリンはとうとう諦めた。だが、それだって悪い気はしていないのだ。素直でないところはキャスリンも同じだった。
「だが、キャス。人前に出るときは猫を十匹かぶってもらうぞ?」
「それだと話が違うだろ?」
「俺は嫉妬深いんだ。本当のおまえを知るのは俺だけでいい」
 そう言った彼は、すばやくキャスリンを抱き寄せ、頬に唇を寄せた。
「……?!」
 何をされたのかわからないキャスリンは、驚きの目でアーノルドを見つめたのだった。

【おわり】
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