裏切りのエピローグ
「――裏切ったな、椛」
ああ、そうだよ。
私が裏切ったんだ。また。
懲りもせず私を追いかけて、信じようとなんかするから。
私は何度も、忠告したのに。
…また…裏切って…裏切られて…。
「だけど、違う」
「え…」
「今ならわかる。この裏切りは、椛の優しさだろ?」
どうして。
どうしてそんなこと言うの?
裏切りは許されない行為なのに。
「裏切り者」って指をさして、罵って、恨んでくれれば。
恨んでくれれば…どれほど…!どれほど………っ!!
「椛」
「…っ」
「俺はもう間違えない」
そう言って、彼は私をまっすぐ見つめた。
それから、いつもみたいに意地悪な笑みを浮かべるのだ。
「言っただろ。もう逃さないって。何があっても、椛を離さないからな」