復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜

　「もう熱もないし、明日は大丈夫だと思います。ここ最近結愛の引越しとかいろいろあったから、ちょっとだけ疲れてたのかも」

　「そうだな。いろいろ考えすぎで知恵熱でも出たか？それともちょっと寂しくなったか？」

　「違います！！」

　彼には何もかも見透かされている気がして、何だか悔しい。顔を赤くさせながら憤慨していると、彼は声を出して笑いながら私を腕の中に囲った。

　「心配するな。これからは俺がいる。病気で具合が悪い時も、寂しくなった時も、こうして俺が君の側にいる」

　彼の言葉がストンと心の中に落ちて、そこから波紋のように次々と輪を描きながら私の中に広がってゆく。

　あのバーで会った夜から、彼はいつもこうして私の中に幸福や喜びに似た何かを植え付けていく。きっとこういうのを愛というのだろう。私の心は今、彼のくれた愛で溢れている。

　そっと見上げて彼の瞳を見つめれば、彼も笑いながら私を見下ろしてくる。こうして二人で笑い合う未来があるとすれば……愛する人と一緒に歩む未来があるとすれば……きっと私の人生は幸せに違いない。

　「君のその揺るぎない愛情が欲しい。これからは俺が君の側にいて君を愛したい。どう思う？俺を愛してくれるか？」

　「私、ちょっと重いかも。妹のために媚薬を使ってまで復讐しようとした人間ですよ」

　すると彼はククっと低く笑った。

　「それでいい。その代わり媚薬を使うのは俺だけにしろよ」

　彼は私をぎゅっときつく抱く寄せると、優しく唇を重ねた。幸せが私の中に広がっていく。彼の首に腕を絡めてキスを返すと、彼は嬉しそうに微笑んで私を抱え上げた。

　「寝室はどこだ？」
　「その前にお風呂に入りたいかも」
　「じゃあ、一緒に風呂に入るか」
　「えっ、待って！そんなの恥ずかしい……」
　「もう散々見てるだろ。それにどうせこの後裸になってベッドで抱き合うんだ。一緒だろ」

　そう笑いながら彼は私の唇にキスを落とす。

　「逢莉、愛してるよ」
　「私も崇人さんを愛してる」

　何だか照れくさくって彼の首筋に顔を埋めると、彼は再び嬉しそうに声をあげて笑った。そうして恥ずかしがる私を抱きかかえたまま、一緒にバスルームの中へと入った。