復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
side story 東儀雅義x沢渡橙子
「東儀社長、片瀬です」
第一秘書の言葉に、東儀雅義は目を通していた書類から顔をあげた。
「入ってくれ」
メガネをかけた初老の男性が入って来る。
「社長、例の週刊誌の件は対応しました」
「そうか。ありがとう」
雅義は手にしていたペンをデスクに置くと、立ち上がって背後にある大きなガラス窓から都心の風景を眺めた。今は夕方でオレンジ色の夕日がビルの間に沈んでいくのが遠くに見える。別れた妻、穂香と一緒によくこんな綺麗な夕焼けの中を、手を繋いで歩いた記憶が蘇ってくる。
「片瀬、君の奥方は元気にしてるか?」
「ええ、お陰様で。そろそろ退職して、夫婦で旅行に出かけないかと催促されてます。この歳になると、いつ体にガタがきてもおかしくありませんからね。なので二人ともまだ元気なうちに一緒に旅行をしたいと。そろそろ妻の望みを叶えようかと思っています」
「ははっ。確かにこの歳だといつ死んでもおかしくないのかもしれないな」
片瀬は自分より2歳年上だが、雅義も人生の半分以上をとうに折り返している。雅義の同年の知り合いもすでにちらほらと病気などで亡くなっている。人生は長いようであっという間だ。
「よく考えると君との付き合いも長いな」
「そうですね。東儀社長の奥様より付き合いが長いですからね」
「ははっ。そうか、穂香よりか……」
「ええ……」
片瀬は離婚した妻の事を今だに奥様と呼ぶ。そんな彼をちらりと見た後、再び外の夕焼けを眺めた。
第一秘書の言葉に、東儀雅義は目を通していた書類から顔をあげた。
「入ってくれ」
メガネをかけた初老の男性が入って来る。
「社長、例の週刊誌の件は対応しました」
「そうか。ありがとう」
雅義は手にしていたペンをデスクに置くと、立ち上がって背後にある大きなガラス窓から都心の風景を眺めた。今は夕方でオレンジ色の夕日がビルの間に沈んでいくのが遠くに見える。別れた妻、穂香と一緒によくこんな綺麗な夕焼けの中を、手を繋いで歩いた記憶が蘇ってくる。
「片瀬、君の奥方は元気にしてるか?」
「ええ、お陰様で。そろそろ退職して、夫婦で旅行に出かけないかと催促されてます。この歳になると、いつ体にガタがきてもおかしくありませんからね。なので二人ともまだ元気なうちに一緒に旅行をしたいと。そろそろ妻の望みを叶えようかと思っています」
「ははっ。確かにこの歳だといつ死んでもおかしくないのかもしれないな」
片瀬は自分より2歳年上だが、雅義も人生の半分以上をとうに折り返している。雅義の同年の知り合いもすでにちらほらと病気などで亡くなっている。人生は長いようであっという間だ。
「よく考えると君との付き合いも長いな」
「そうですね。東儀社長の奥様より付き合いが長いですからね」
「ははっ。そうか、穂香よりか……」
「ええ……」
片瀬は離婚した妻の事を今だに奥様と呼ぶ。そんな彼をちらりと見た後、再び外の夕焼けを眺めた。