復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜

epilogue

　「お母さん！和花(のどか)がまた勝手に私のシール使ってる！」

　「だって、お姉ちゃん、日記帳にシールいっぱい貼ってるんだもん。和花もお姉ちゃんと同じに日記にペタペタ貼りたい」

　「なんで和花はいつも私の真似ばっかりするの！！」

　長女の彩華(あやか)と次女の和花がいつものようにギャーギャー喧嘩をしながらやってくる。バルコニーで本を読んでいた私は、小さくため息をつきながら本を閉じた。目の前には綺麗な森林が広がっている。

　「彩華、シールぐらい和花にあげたらいいじゃない。いっぱい持ってるでしょ。お姉ちゃんなんだから、ちょっとだけ分けてあげたら？」

　「お姉ちゃん、お姉ちゃんって……どうしていっつも私が我慢しなきゃいけないの？不公平だよ！！」

　彩華はプンプンと怒って両手を前に組んでふくれっ面をしている。そんな彩華の前に私は思わず跪いた。自分が長女で、母親に言われた言葉だから彩華の気持ちはよくわかる。同じような言葉を自分の娘にも言ってしまうなんて、子育てとは実に難しい。

　「そうだね。お姉ちゃんだからっていつも我慢しなきゃいけないって不公平だと思う気持ちはよくわかる。お母さんもお姉ちゃんだったから。でもね、和花が彩華の真似をするのは彩華が大好きだからなんだよ。ちょっとだけ和花に分けてあげてくれないかな。その代わりまた今度お母さんと一緒に新しいシールを買いに行こう」

　そう言うと、彩華はムスッとむくれながらもしぶしぶと了承した。