復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「……わかった。絶対に約束だよ」
 「うん、約束する。ごめんね、ありがとう」

 そう言って彩華の小さな頭を撫でると、今度は和花の前に跪いた。

 「和花、この前お姉ちゃんと約束したんじゃなかったの?もしシールを使いたい時は、まずお姉ちゃんに聞いてからにしてって。そしたら分けてあげるって、お姉ちゃん言ってたでしょ。どうして勝手に使っちゃったの?」

 和花は私に怒られて、シールを両手に握りしめたまましゅんと項垂れた。

 「お姉ちゃんの言うことをちゃんと聞かないとダメよ。お姉ちゃんに謝ってね」

 「……はい。お姉ちゃん……シール勝手に使ってごめんなさい。これ返すね」

 「うん。もういいよ。ほらおいで。欲しいシール分けてあげるから」

 そう言って彩華は和花の手を引いて、再び部屋の中へと戻っていく。なんだかんだ言ってもやっぱり彩華はお姉ちゃんだ。しばらくすると、二人仲良く話している声が聞こえてくる。どうやらうまくいったようだ。

 この二人を見ていると、自分と結愛を思い出す。私もこうして結愛と小さい頃はよく喧嘩をしたり、仲直りをしたりを繰り返した。でも両親が亡くなってから結愛がいた事が私の唯一の救いだった。だから彩華と和花にもいつまでも仲良しでいて欲しいと思う。

 きっと私の両親も私たちを育てながらそう願っていたに違いない。ちょうど今の私のように──…
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