きみのいちばんぼし
何を考えているのか分からない、むっとした表情でこちらを見ている。


たしか、瀬名くんとは1度も話したことがないし、関わったこともない。


でも、瀬名くんの目を見れば、私の代わりに運んできてくれたことは明らかだった。


「あ、ありがとう…瀬名くん」


慌てて立ち上がってドアの傍から動かない瀬名くんから残りの提出物を受け取った。


瀬名くんに背を向けて教卓まで運ぶ。


焦った。さっきの独り言、聞かれてないよね…


「お前さ、」


後ろで瀬名くんが口を開く気配がした。


信じられないくらいに冷たい声で続ける。


「お前さ、なんでそんななの」



これまた返答に困る問いだ。


そんなって何?私、何か悪いことした?


今できる最大限のよそいきスマイルで振り返る。


「そんなって。どういうこと?」
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