きみのいちばんぼし
「…なに」


「いや何じゃなくて。泥棒かと思うじゃん。てかなんでそんな不機嫌なの」


なんでこういう時に限って嫌なところをついてくるんだろう。


イラッとして、思わず眉根を寄せた。


「別に不機嫌じゃないんだけど。」


「いやどこが?絶対機嫌悪いじゃん」


「別にいいでしょ。ほっといてよ」


そのまま階段を上ろうとすると、後ろから紗良のふんっと鼻で笑った音と、


「そんなんだと友達いなくなるよ」


という声が聞こえた。


今一番言われたくないことを言われた。


それがもう限界だった。
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