きみのいちばんぼし
面倒くさいけど、2往復するしかない。


そう思って、1番上からちょうど半分くらいの提出物をとって、またさっき降りてきた階段を上り始めた。


途中で何人か友達とすれ違ってまたねーと手を振る。


みんな意気揚々としていて、放課後になってまでこんな労働をしている自分が馬鹿らしくなった。


いや、引き受けた自分が悪いんだけど。


でも何度考えてみてもあの場で断れる自分は居ないような気がする。


それに1人でいられる学校はすごく貴重だ。


どうせ教室にも誰もいないし、せっかくだから少しゆっくりしてからもう一往復しようかなんて考えながら、教室のドアを開けた。


案の定、教室には誰もいない。


私は朝早くもないし帰宅もそれほど遅いわけじゃないから誰もいない教室は本当に新鮮だった。


「…ちょっと失礼します」


窓際の一番前の席を拝借して座る。


窓の外を見ると、陸上部がちょうどランニングをしている最中だった。


聞こえるのは、誰かが開けっ放しにした窓から入ってくる運動部の掛け声と吹奏楽部の音だけ。
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