最強男子はあの子に甘い
入学式にてバトル発生!
学校帰りに、公園でいじめられていた同じクラスの男の子を助けようとしたことがある。
見て見ぬふりが上手く出来なかった。
私がまだ小学校四年生のときだ。
隣のクラスの男の子たち数人に囲まれたクラスメイトの姿を見て、ただならぬ雰囲気を感じ取り放ってはおけなかったのだ。
今思えば、私が一人で止めに入ったところで相手が引き下がるなんてことは考えられないことがわかるのに。
当時はあまりよく考えもせずその場の正義感が勝ってしまったのだと思う。
案の定、止めに入った私まですぐに囲まれて逃げられない状況に陥ると、一気に恐怖が押し寄せてきた。
そのときだった――。
「女子相手に何やってんの?」
声がしたほうを振り向くと、背の高い男の子がこちらにゆっくり歩み寄ってくる。
ケンカが強くて誰も敵わないと有名な六年生の井原彗くんだった。
学年の違う私でもその名前と顔を知っているほど。
そんな彼にたしなめられるように声をかけられたいじめっ子たちは、一瞬で逃げ去っていく。
私が知っている以上に強い人なのかもしれない。
「……大丈夫?」
優しく心配されると、私は助けてもらった安堵感で泣き出してしまった。
気がつけばいじめられていたクラスメイトまで逃げ去ってしまったようで、自分の正義感が馬鹿らしくなったことと、彗くんが優しく微笑んで泣きじゃくる私の頭を撫で、泣き止むまでそばにいてくれたことを今でもよく覚えている。
見て見ぬふりが上手く出来なかった。
私がまだ小学校四年生のときだ。
隣のクラスの男の子たち数人に囲まれたクラスメイトの姿を見て、ただならぬ雰囲気を感じ取り放ってはおけなかったのだ。
今思えば、私が一人で止めに入ったところで相手が引き下がるなんてことは考えられないことがわかるのに。
当時はあまりよく考えもせずその場の正義感が勝ってしまったのだと思う。
案の定、止めに入った私まですぐに囲まれて逃げられない状況に陥ると、一気に恐怖が押し寄せてきた。
そのときだった――。
「女子相手に何やってんの?」
声がしたほうを振り向くと、背の高い男の子がこちらにゆっくり歩み寄ってくる。
ケンカが強くて誰も敵わないと有名な六年生の井原彗くんだった。
学年の違う私でもその名前と顔を知っているほど。
そんな彼にたしなめられるように声をかけられたいじめっ子たちは、一瞬で逃げ去っていく。
私が知っている以上に強い人なのかもしれない。
「……大丈夫?」
優しく心配されると、私は助けてもらった安堵感で泣き出してしまった。
気がつけばいじめられていたクラスメイトまで逃げ去ってしまったようで、自分の正義感が馬鹿らしくなったことと、彗くんが優しく微笑んで泣きじゃくる私の頭を撫で、泣き止むまでそばにいてくれたことを今でもよく覚えている。