最強男子はあの子に甘い
 屋上で二人きりになると彗くんは、私を抱き寄せてすぐに扉に鍵をかける。
 誰かが来ることを私が心配しないようにではない。
 彗くんが二人きりでいるところを、誰にも邪魔されたくないらしい。

「屋上の鍵って、彗くんが管理してるの?」
「校内にスペアキーはあるかもしれないけど、基本的には」
「……本当に屋上の主みたい」
「紗宇はいつでも来ていいよ。俺が学校にいるときは、鍵を開けておくから」
「……ううん。彗くんと一緒にいる屋上が好き」

 答えた私の唇を、彗くんの唇がさらうように口づけた。
 
「俺も。紗宇のこと独り占めしてる気分になれるから、ますます屋上が気に入ってる」
「彗くん、私の周りの人にヤキモチ妬いたりすることなんてあるの?」
「あるよ。圭音なんて特に紗宇と仲がいいから」
「永田くんに彗くんがヤキモチを?……それは永田くんが喜んじゃうから、絶対本人には言えないやつ」
「……そういうとこ。妬く」

 こつんと私のおでこに彗くんのおでこがくっつく。
 彗くんにじっと見つめられると、くっついたおでこから彼のヤキモチが伝わってくる気がした。

「乙部とも最近何かあっただろ?」
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