最強男子はあの子に甘い
乙部さんは、ふふっと優しく笑うだけでそれ以上は私と彗くんについて触れなかった。
そして彗くんに倒されてまだ呆然としている永田くんの元へ歩み寄っていく。
乙部さんが乱闘現場の中心へ向かうと、それを囲む輪が自然とまた元に戻って私にはその輪の中の様子はわからない。
『あんまりなんでも首突っ込もうとしないようにね』
ふと彗くんの言葉が頭を過って、私がそっと群がる生徒たちから距離を置くと「紗宇ちゃん!」と声をかけられた。
たくさんの生徒の中に潜り込むように消え、どこからともなく現れたのは湯川くんだ。
「僕、間近で大迫力の桜辰バトルを見てしまった……!」
とっても感動してます!と言った様子で両手を握りしめ、湯川くんが満足げに言い放った。
「永田くんも強かったけど……やっぱり、彗くんが強くてクールで最高にかっこいい!」
バトルを見るのが好きらしい湯川くんの気持ちはよくわからないけれど、彗くんに関しては同じくといった感想を持つ私は「うん」と一度頷いた。
同意を聞き逃さなかった湯川くんが「ね!」と喜び、興奮しながらバトルの様子や感想を語り出す。
入学早々、桜辰らしい乱闘騒ぎを経験し、湯川くんのバトル見物の語りを聞きながらも私は再会した彗くんのことで頭の中がいっぱいだった。
そして彗くんに倒されてまだ呆然としている永田くんの元へ歩み寄っていく。
乙部さんが乱闘現場の中心へ向かうと、それを囲む輪が自然とまた元に戻って私にはその輪の中の様子はわからない。
『あんまりなんでも首突っ込もうとしないようにね』
ふと彗くんの言葉が頭を過って、私がそっと群がる生徒たちから距離を置くと「紗宇ちゃん!」と声をかけられた。
たくさんの生徒の中に潜り込むように消え、どこからともなく現れたのは湯川くんだ。
「僕、間近で大迫力の桜辰バトルを見てしまった……!」
とっても感動してます!と言った様子で両手を握りしめ、湯川くんが満足げに言い放った。
「永田くんも強かったけど……やっぱり、彗くんが強くてクールで最高にかっこいい!」
バトルを見るのが好きらしい湯川くんの気持ちはよくわからないけれど、彗くんに関しては同じくといった感想を持つ私は「うん」と一度頷いた。
同意を聞き逃さなかった湯川くんが「ね!」と喜び、興奮しながらバトルの様子や感想を語り出す。
入学早々、桜辰らしい乱闘騒ぎを経験し、湯川くんのバトル見物の語りを聞きながらも私は再会した彗くんのことで頭の中がいっぱいだった。