最強男子はあの子に甘い
我が家の買い物はもっぱら最寄り駅前にある大きなスーパーを利用している。
家からは学校よりも近く、学校からも駅が近いために通学する桜辰生が多く利用する駅でもある。
でも駅前に着くと下校時刻なのに桜辰生が見当たらない。
それよりも見たことのない制服姿の男子がチラチラとやけに目についた。
気にしすぎだろうか?――いや。
浮かれて制服を着たままおつかいに来てしまった私は、やってしまったかもしれないと空を見上げる。
自分が桜辰生であることを、敵対しているかもしれない他校生にアピールしているようなものだ。
「ちょっ……離して!離してください!」
私が玉子を諦めて身の安全を確保すべく帰ろうとすると、聞き覚えのあるかわいらしい声が困ったように『離して』と訴えるセリフが耳に届いた。
声がしたほうを振り向けば、横断歩道をひとつ挟んで桜辰の姫が、他校の男子学生一人に手を掴まれている姿が見える。
ナンパだろうか。
しつこく言い寄って姫のことを困らせているように見えた。
抵抗はしているけどパワーでは敵わない様子で、掴まれた手を引かれていく姫を見て、見て見ぬふりが出来ない。
家からは学校よりも近く、学校からも駅が近いために通学する桜辰生が多く利用する駅でもある。
でも駅前に着くと下校時刻なのに桜辰生が見当たらない。
それよりも見たことのない制服姿の男子がチラチラとやけに目についた。
気にしすぎだろうか?――いや。
浮かれて制服を着たままおつかいに来てしまった私は、やってしまったかもしれないと空を見上げる。
自分が桜辰生であることを、敵対しているかもしれない他校生にアピールしているようなものだ。
「ちょっ……離して!離してください!」
私が玉子を諦めて身の安全を確保すべく帰ろうとすると、聞き覚えのあるかわいらしい声が困ったように『離して』と訴えるセリフが耳に届いた。
声がしたほうを振り向けば、横断歩道をひとつ挟んで桜辰の姫が、他校の男子学生一人に手を掴まれている姿が見える。
ナンパだろうか。
しつこく言い寄って姫のことを困らせているように見えた。
抵抗はしているけどパワーでは敵わない様子で、掴まれた手を引かれていく姫を見て、見て見ぬふりが出来ない。