最強男子はあの子に甘い
親睦会をはじめます!
 お昼休みのチャイムが鳴ってお弁当を机の上に出すと、隣から視線を感じた。
 永田くんが私のお弁当のおかずを狙っているのがわかる。
 私はお弁当箱を永田くんから守るように抱えると、彼はつまらなさそうな顔をした。

「……つまみ食いしようとしてたでしょ?」
「わかってんならひとつくらいいいじゃん!」
「よくない!私の好きなおかずばっかり取るし!」
「気ぃ合うな、井原さんやめて俺と付き合う?」
「それはない!……けど、永田くんは永田くんとして好きだよ」
「僕も好き」

 私が照れながら伝えると、湯川くんも笑顔で永田くんに同じ気持ちを伝えた。
 永田くんは私たちを交互に見ながら、珍しく戸惑い、照れている。
 そして何か決したようにカバンを開けると、その中からひとつ、またひとつと次々にいろいろなお菓子を取り出して机の上に積んでいった。手品師みたいだ。
 私と湯川くんがわけもわからずその様子を見つめていると、最後のお菓子を積み上げた永田くんはふうっと息を吐く。

「……きのう、あの一件で帰りが遅くなってこれでも家で心配されてさ、友達と遊んでたって適当なこと言って誤魔化したら、俺に友達が出来た!って姉貴と妹がお祭り騒ぎで。もっと仲良くなってこいっつってこんなに菓子持たされた」
「あ!私、このお菓子大好き!」
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