最強男子はあの子に甘い
「え、それなんすか?紗宇がお姫様みたいな?姫ってキャラじゃないっすよ?」
「永田くん、女の子はみんなお姫様だよ?」

 照れもせず、かっこもつけすぎず、超自然体で清々しくこんなフォローが出来る男子は湯川くんの他にいるのだろうか。いや、いない。少なくとも私は知らない。
 そんな彼のお姫様はキラキラした目で恋人であるナチュラルイケメン湯川くんを見つめている。
 惚れ直しでもしたのだろう。

「湯川くんくらいですよね、小坂さんの相手が出来るのは……」

 湯川くんのフォローを聞いた乙部さんが、感心したようにポツリとこぼした。

『どういう意味!?』

 ……なんて姫が乙部さんに嚙みついてもおかしくないようにも聞こえたけど、あいにく姫は湯川くんに惚れ直すのに忙しい様子だ。

「紗宇ちゃんは彗くんのお姫様だから!」
「蜜姫……」

 永田くんに教えるように姫が大きな声で言うと、それを聞いた彗くんが困る顔を見て彼女は満足そうににこにこしている。

「井原さんって紗宇のどこが好きなんすか?」
「……優しくて正義感があって、強いのかと思えば全然弱くて、放っておけない」

 みんなの前で直球すぎる質問を永田くんは彗くんにぶつけた。
 そんな永田くんの口をふさぎたい気持ちでいっぱいな私の隣で、彗くんは照れもせずに淡々とその質問に答えたのだ。
 聞いている私が照れてしまう。
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