最強男子はあの子に甘い
視線を向けた先には背が高くて短髪でシルバーの髪色をした男の子が見えて、次々に彼に挑むかのように攻撃を仕掛ける男子生徒が現れては倒されていく。
見学よろしくその場を囲む生徒と、シルバーヘアーの彼に挑もうとする生徒で体育館はあっという間に熱気に包まれていった。
先生たちは慣れたように静観している。
いや、そうするしかないようにも見える。
「あ、僕も!ちょっと見て来る!」
「え!?」
温和そうな湯川くんがそう言って、わくわくした様子で見学に加わるべく乱闘現場へと駆けて行った。
するすると群がる人をすり抜けていく彼の背中を見て、その身のこなしに私は思わず「すごい……」と小さくこぼす。
ここは私も乱闘現場を見守るくらいが新入生らしい振る舞いかと思い、そろそろと現場を囲む輪に近づいてみた。
シルバーヘアーくんは、頭が見えたまま。
倒された気配は一度も感じない。
けれど、乱闘の様子は群がる生徒の隙間からなんとなくぼんやり見えるくらい。
背の低い私は飛び跳ねても比較的、体格のいい男子が群がる外からではあまり乱闘現場の様子はわからなかった。
ただ、シルバーヘアーくんが強いことは伝わってくる。
「あー!っんと!弱いのばっかめんどくせぇーな!」
そんな大きな声が聞こえた次の瞬間だった。
誰かが突き飛ばされた勢いで、群がっていた生徒が次々に倒れて私までその流れが届く。
見学よろしくその場を囲む生徒と、シルバーヘアーの彼に挑もうとする生徒で体育館はあっという間に熱気に包まれていった。
先生たちは慣れたように静観している。
いや、そうするしかないようにも見える。
「あ、僕も!ちょっと見て来る!」
「え!?」
温和そうな湯川くんがそう言って、わくわくした様子で見学に加わるべく乱闘現場へと駆けて行った。
するすると群がる人をすり抜けていく彼の背中を見て、その身のこなしに私は思わず「すごい……」と小さくこぼす。
ここは私も乱闘現場を見守るくらいが新入生らしい振る舞いかと思い、そろそろと現場を囲む輪に近づいてみた。
シルバーヘアーくんは、頭が見えたまま。
倒された気配は一度も感じない。
けれど、乱闘の様子は群がる生徒の隙間からなんとなくぼんやり見えるくらい。
背の低い私は飛び跳ねても比較的、体格のいい男子が群がる外からではあまり乱闘現場の様子はわからなかった。
ただ、シルバーヘアーくんが強いことは伝わってくる。
「あー!っんと!弱いのばっかめんどくせぇーな!」
そんな大きな声が聞こえた次の瞬間だった。
誰かが突き飛ばされた勢いで、群がっていた生徒が次々に倒れて私までその流れが届く。