最強男子はあの子に甘い
「うん」
 
 私と湯川くんが呼吸を合わせてすぐに頷く。
 そもそももっと荒れた学校生活を想像していた私にとっては、桜辰は意外なことばかりだが。
 永田くんの真面目さはその中のひとつなのは確かだ。
 入学式で彼は、真面目を否定しながら暴れていた覚えもある。

「……まあ、紗宇やたけるといるのがけっこう楽しいからな」

 永田くんは頭を掻きながらそう言って少し照れた。
 私は湯川くんと顔を見合わせて微笑む。

 入学式から浮いていた永田くんだけど、一年のトップになった強さも、今は上級生も含めて認められるようになった。
 クラスメイトをはじめとして校内でも少しづつ桜辰生と打ち解けていってる様子だ。
 私と湯川くんとも仲良くしてくれる気のいい男の子だから、きっとすぐに人気者になるだろう。

 湯川くんは桜辰の姫との交際をオープンにしてからというもの、恋愛相談をされることが多いらしい。
 それがとても好評のようで、今は上級生まで相談しに来るほどである。
 私も彗くんとのことで悩むようなことがあれば、一人で悩まずすぐに湯川くんに相談しよう。
 なんとも心強い友達を持ってしまった。
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