最強男子はあの子に甘い
 湯川くんの恋人である桜辰の姫こと小坂蜜姫ちゃんとは、仲良くなって休みの日に二人で会ったりもする。
 蜜姫ちゃんは先輩らしくお姉さんのように私に接してくれた。
 かと思えば私に寄り添ってくれる友達であり、湯川くんの話になると妹みたいに思えるほどかわいいひとだ。
 
「たけるくんは、中学のとき……私に告白してくれたの」
「それって湯川くんが一年生のときってことですよね」

 カフェで向かい合いながら、私は湯川くんと蜜姫ちゃんの馴れ初めに興味深く耳を傾けた。

「うん……でも私たちおさななじみで、小さい頃から一緒にいて仲が良くて。昔から私はたけるくんのことが大好きだったんだけど、たけるくんは女の子にすごく人気があったから……」
「……湯川くんがモテるの、すごくわかります」

 アイスティーを一口。
 こくっと飲み込んで私は大きく頷いた。
 
「私、年上だし。どんどん昔みたいに仲良くするのは難しくなっていくばっかりで、でも……たけるくんはそれが寂しいって言ってくれて、ずっと一緒にいたいって、私のこと大好きだよって言ってくれたんだ」

 『めでたし、めでたし』という声がどこからともなく聞こえてきそうな、絵に描いたようなハッピーエンドで私は口元が緩んだ。
 蜜姫ちゃんも思い出しながらにこにこしている。
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