最強男子はあの子に甘い

「紗宇ちゃんと彗くんは、どっちが先に好きって言ったの？」
「す、彗くんが言ってくれました……」
「そうだよね。彗くんのほうが紗宇ちゃんのこと大好きだもんね」
「え？……そうですか？」

　自分のほうが彗くんに夢中だとばかり思っていた。
　けれど蜜姫ちゃんには、私たちの関係は少し違って見えているらしい。

「だってそもそも私が初めて二人のこと見たとき、屋上で彗くんが女の子に甘えてるんだもん。びっくりしちゃった！」
「あ、あれは……私が肩を貸して、彗くんがその肩に寄りかかって寝てただけで……」
「完全に甘えてる」
「……そ、そうですか？」
「二人きりのときの彗くんなんてきっと、紗宇ちゃんにデレデレなんだろうなぁ」

　蜜姫ちゃんは斜め上を見て何かを想像し、面白そうに微笑んでいる。
　桜辰最強とも呼べる彗くんをからかえるほど、蜜姫ちゃんは彗くんと仲がいい。
　そして私とも仲良くしてくれるようになったことがとてもうれしい。