推しグッズvs大人気アイドル 胸キュン溺愛対決

 「お父さんお母さんあのね、光くんはね……」



 慌てるわたしを瞳にも映さず、お父さんの表情が輝いていく。



 「母さん、今夜は赤飯を炊いてくれ」



 え、なにかお祝い事でもあった?



 「あなたったらもう、夕飯は食べちゃったでしょ」

 「あはは、母さんのおいしいハンバーグをいただいたんだったな」

 「それより記念に写真を撮りましょう。陽葵は二人の前ね。お父さんと光君は仲間同士肩を組んで」



 お母さんの口から『なかま』って3文字が放たれたような……



 「ひまり笑って笑って、ハイチーズ!」



 お母さんが手にしているスマホのフラッシュが光った。

 意味が分からず目をパチパチしていたから、わたしは目を閉じちゃっていたかもしれない。

 半目ゾンビ顔の永久保存はやめて……って。

 いやいや、写真うつりなんか今はどうでもよくて。


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