推しグッズvs大人気アイドル 胸キュン溺愛対決

 「ひかる君、すれ違う人を睨みすぎだった」

 「だってみんなが陽葵のことを狙ってたから」



 どんな目をしていれば、そんな勘違いが生まれちゃうかな。



 「誰もわたしになんて興味ないから!」

 「そんなことない!」

 「あ・り・ま・す!」



 玄関をおり、靴をはいた光くんがわたしの耳に顔を近づけた。



 「俺の特別はひまりだけだよ」



 男らしい低音ボイス。

 甘さを溶かした声を耳に吹きかけてきたから、心臓に甘い負荷がかかる。

 え? 腕? 胸? ひゃっ!



 「あわわわわ、抱きつき禁止令が出てるでしょ!」

 「今は俺のこと、ただのペンライトだと思って」



 ムリだよ、ギュって抱きしめられてるし。

 体温感じちゃうし。

 心臓だけじゃなく脈まで飛び跳ねだしちゃった。



 「今の光くんは人間なんだから、離れて離れて!」



 手のひらに力をこめる。

 彼の胸をめいっぱい押して

「行ってきます!」

 玄関の外に逃げ出した。


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