推しグッズvs大人気アイドル 胸キュン溺愛対決


 制服のスカートをひらめかせながら、中学へ足を進める。

 ひかる君に言い過ぎたかな……

 でもわたしの心臓にはドキドキの許容範囲ってものがあるわけで。

 好きな相手じゃなくても男の子っていうだけで、抱きしめられたらハートがうずきだしちゃうよ。



 「おはよう」とにっこり微笑み教室に入る。

 2年1組のこのクラスは男子も女子も仲がいい。



 「ひまりん、昨日音楽番組にアズリズ出てたよね」

 「お前の推しより俺のほうがイケメンだって断言する運命の女子、まだ現れないんだけど、沼瀬どう思うよ?」



 席に着くまでに5人に足止めされ、それぞれと冗談を飛ばしあった。

 いつもこんな感じ。


 一番後ろの窓ぎわの机にカバンを置く。

 ここが私の席なんだ、くじ運いいでしょ。



 椅子に座ったと同時に、湖羽(こはね)ちゃんがやってきた。

 めがねと2本のおさげが今日も似合っている。

 控えめな性格が可愛くてたまらない、わたしの親友なんだ。


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