推しグッズvs大人気アイドル 胸キュン溺愛対決
秋の文化祭の目玉は、各学年選抜メンバーによる演劇だ。
去年私は、中1の選抜メンバーに選ばれなかった。
『沼瀬は登場人物になりきるのがうまい。でもそれだけ、器だけだ。観ている人の心を掴んで、感情をぐちゃぐちゃにかき乱す。そんな魂を操れる役者にはほど遠いと、先生は思うぞ』
私の演技を先生に否定された。
悔しくてたまらなかった。
死が迫っているおばあちゃんに自分の演技を見せられる最後の大舞台だったのに、実力不足でチャンスを逃してしまった。
おばあちゃんはもうこの世にいない。
客席からわたしをみることはできない。
でもね、天国で見ていてくれるはずなんだ。
だっておばあちゃんは一番の理解者で、私の夢を全力で応援してくれていたから。
おばあちゃん、わたし頑張るね。
今年こそは学年選抜に選ばれるように、必死に練習する。
いつか、たくさんの人を笑顔にできる舞台女優になるために。