推しグッズvs大人気アイドル 胸キュン溺愛対決
このあたりに落ちているはずなんだけどな。
月明かりだけじゃうす暗くて見あたらないか。
懐中電灯を取りに家に戻るのが得策っぽい。
捜索は一時中断にしますと、まわれ右をした時だった。
「っ、痛ぁ」
後ろから、うめき声が聞こえたのは。
誰かいるの?
恐る恐る振り返る。
人の気配はない。
よかったぁ、空耳か。
そんなことより、今はペンライト探しに集中しなきゃ。
懐中電灯を取りに家に戻って……って。
うわっ、カサカサ聞こえる!
目の前の生い茂ったつつじの葉っぱが、風がないのにワサワサ動いてる!
つつじの茂みの中に誰かいるんだ。
うめき声の主?
待って、怖いよ、今すぐ逃げなきゃ。
筋肉に力をこめようとするも、足が震えすぎて動けない。
恐怖が神経にまで伝染してしまった。
金縛りにあったように固まったまま、闇夜の怪物のように葉を揺らすつつじの茂みを見つめる。