聖なる夜に贈り物
「てゆうか、純もイブなのに予定ないの?」

「お互い様でしょ」

「あ、でもさ純、この間告白されてたじゃん。あの子とは付き合わないの?」

偶然だが、私は先週、同じ英文科の後輩が純に告白してるのを見かけたのだ。

「それこの間も話したけど、好きじゃないから」

純は、おしゃれなどんぶりに親子丼をよそいながらぶっきらぼうに返事をする。

「純って以外とそういうとこはっきりしてるよね」

純は人当たりがよく、サークル内で誰かに頼みごとをされても嫌な顔ひとつせずに引き受ける姿を私は何度も見たことがある。

「そういうところだからハッキリした方がいいんだよ」

「え?」

「誰かの想いって受け取って向き合えないなら初めから受け取るべきじゃないと思うから」

ふいに真面目な顔の純に私はどきっとする。

「日香はさ、もっと怒れば良かったのに」

「だって……」

彰人と交際して半年。ずっと知らなかったが、私は二股されていた。さらに彰人にはもう一人の彼女の方が本命だったのだ。

二人で過ごしている時に、偶然彰人のLINEのポップアップ通知をみたことから二股が発覚し、私は彰人を問い詰めたが、彰人は悪びれた様子もなくそのまま荷物を残して出て行った。

そしてそれっきり連絡しても無視され、二度と彰人が戻ってくることはなかった。
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