私たちの恋風は、春を告げる



ちょっとぼーっとしすぎちゃったかな…


「お前ここ最近、ぼんやりしすぎじゃねぇの」


私の心の中を覗いてるかのように冬紀もそんなことを言うから、少しびっくりしちゃった…


「そ、そんなことないよ!ほら、全然元気!」


取り繕ったような笑顔をなんとか浮かべると、冬紀はそんな私を見ながら、小さくため息をついた。


「そういえば冬紀だって、今日後輩の子に呼び出されてたらしいじゃん」


「……なんで知ってんだよ」


「そりゃあ学校で一番モテモテな奴の噂なんて、一瞬で広まるしー。冬紀、自分がどんだけ人気か、いい加減自覚しなよ」


「……自覚したところでなんも嬉しくねーよ」




< 20 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop