私たちの恋風は、春を告げる
「なんで?自分を好きになってくれる人がいるって、嬉しいことじゃん」
そんなこと言ってる自分は、初恋もまだろくに経験してないんだけど。
「……」
前を歩いていた冬紀は、何も言うことなく、歩くスピードを落とした。
「……どうしたの?」
そんな様子に、私は尋ねる。
「お前も…そんな奴がいたら嬉しいわけ?」
「え?そりゃあ、まあ……」
まだ恋とか、ちゃんとはわからないけど…
でも自分を想ってくれる人がいることは素直に嬉しいなあ…とは思う。