私たちの恋風は、春を告げる
「冬紀だって、いつかきっと出会えるって。そばにいてくれたら嬉しいとか、幸せって思えるような人」
そんな私たちの隣を、車が通り過ぎていく。
「そんなの…」
「……え?」
「そんなの、今までもこれからも、ひとりしかいないに決まってんだろ…」
冬紀が何かを言い終えたタイミングと、車が通ったタイミングがちょうど重なって、何を呟いたのか、よく聞こえなかった。
「ごめん、今なんて言って…」
「俺がもし…お前と幼なじみの関係やめて、それ以上になりたい、つったら?」
私の言葉を遮って、冬紀が言う。