私たちの恋風は、春を告げる
「ごめん、びっくりさせて。床、今片付けるから」
「いい、俺がやる。ほんとに、ケガしてねえよな?」
「……うん。ありがと」
「お前はそこから一歩も動くなよ。その布巾、使っていいか?」
「あ、うん!」
近くにあった布巾で、冬紀は黙々と床を拭いていく。
そんな様子を、私はただ見つめているしかなかった。
………さっきの感覚、あの時と同じだった…
少し前の体育の時に、急に左足の力が抜けたみたいに。