私たちの恋風は、春を告げる
「お前、やっぱり今日いつもと違って」
「だから、そんなことないって!」
自分でも、びっくりするくらい強い口調だった。
冬紀も驚いたように、一瞬目を見開いた。
「……ごめん。ほんと、大丈夫だから」
「……そ」
冬紀はそう言って、再び手を動かし始める。
"そんなことない"も"大丈夫"も、冬紀に言い聞かせているようで、本当は必死に自分に言い聞かせていたのかもしれない。
漠然とした、大きな不安を抱え始めていた自分自身にーーーー。