君のいないクリスマス
「それじゃ、お先に。お疲れ様。」
「お疲れ様でした~。」
ひとり、またひとりとオフィスから同僚たちが姿を消して行く。終業のチャイムが鳴り響いたあとのオフィスでは、ありふれたいつもの光景。しかし今日は、退勤して行く同僚たちの表情が、普段より華やいでいるように見えるのは、俺の気のせいだろうか?
「気のせいだよ。」
すると、俺の心の中を読んだような言葉が聞こえて来て、驚いてその声の方を見る。
「クリスマスにみんな、楽しい予定があるなんて、ありえない。一緒に過ごす人がみんないるなんてありえない。いたって、平日の今日に、これから会えるとは限らない。家族がいたって、クリスマスをみんなで祝い合う家庭ばかりとは限らんだろう。」
コイツ、酔ってクダ巻いてるのかと思うくらい、しょうもないことを言っている同僚の姿が目に入る。
「そうだ、クリスマスが楽しいなんて、誰が決めたんだ。なぁ、柊木。」
そのしょうもないことに同意した他の同僚が、なぜか俺に話を振って来るから
「確かにそうだけど、そういう話はオフィスじゃないとこでやってくれよ。」
やや呆れた口調で言ってやった。
「じゃ、呑み行くか?」
「いや、俺はもう少し仕事していくよ。」
「やっぱりお前も寂しいおひとり様ということか?」
「別にひとりじゃないが、クリスマスだからと言って、やるべきことを放り出してまで、早く帰りたいとは思わないからな。」
そう答えた俺の口調が、やや尖って聞こえたのだろうか?
「もういいだろう。じゃ、我ら予定ナシオ組は、これから傷を舐め合って来ます。じゃ、お疲れ。」
最初に嘆いていた同僚が、慌てたように割って入って来て、そのまま彼を連れ出すように、オフィスを出て行く。
「ごめんね、柊木くん。彼、まだウチに来たばかりで何も知らないからさ・・・。」
すると申し訳なさそうに声を掛けて来た女子に
「いや、別に全然平気だよ。なんか、かえって悪かったね。」
俺は笑って見せる。
「ううん。じゃ、私たちもお先に失礼するね。柊木くんもあんまり無理しないでね。なんと言っても、今日はクリスマスだから。」
「ああ。さっきも言ったように、このあと予定がないわけじゃないから、適当に切り上げるよ。」
「うん、わかった。じゃ、お疲れ様。」
「お疲れ様です。」
こうして、彼女たちが出て行くと、俺はオフィスにひとりになった。
(また、みんなに気を遣わせてしまったな・・・。)
フッと1つ息を吐いた。
「お疲れ様でした~。」
ひとり、またひとりとオフィスから同僚たちが姿を消して行く。終業のチャイムが鳴り響いたあとのオフィスでは、ありふれたいつもの光景。しかし今日は、退勤して行く同僚たちの表情が、普段より華やいでいるように見えるのは、俺の気のせいだろうか?
「気のせいだよ。」
すると、俺の心の中を読んだような言葉が聞こえて来て、驚いてその声の方を見る。
「クリスマスにみんな、楽しい予定があるなんて、ありえない。一緒に過ごす人がみんないるなんてありえない。いたって、平日の今日に、これから会えるとは限らない。家族がいたって、クリスマスをみんなで祝い合う家庭ばかりとは限らんだろう。」
コイツ、酔ってクダ巻いてるのかと思うくらい、しょうもないことを言っている同僚の姿が目に入る。
「そうだ、クリスマスが楽しいなんて、誰が決めたんだ。なぁ、柊木。」
そのしょうもないことに同意した他の同僚が、なぜか俺に話を振って来るから
「確かにそうだけど、そういう話はオフィスじゃないとこでやってくれよ。」
やや呆れた口調で言ってやった。
「じゃ、呑み行くか?」
「いや、俺はもう少し仕事していくよ。」
「やっぱりお前も寂しいおひとり様ということか?」
「別にひとりじゃないが、クリスマスだからと言って、やるべきことを放り出してまで、早く帰りたいとは思わないからな。」
そう答えた俺の口調が、やや尖って聞こえたのだろうか?
「もういいだろう。じゃ、我ら予定ナシオ組は、これから傷を舐め合って来ます。じゃ、お疲れ。」
最初に嘆いていた同僚が、慌てたように割って入って来て、そのまま彼を連れ出すように、オフィスを出て行く。
「ごめんね、柊木くん。彼、まだウチに来たばかりで何も知らないからさ・・・。」
すると申し訳なさそうに声を掛けて来た女子に
「いや、別に全然平気だよ。なんか、かえって悪かったね。」
俺は笑って見せる。
「ううん。じゃ、私たちもお先に失礼するね。柊木くんもあんまり無理しないでね。なんと言っても、今日はクリスマスだから。」
「ああ。さっきも言ったように、このあと予定がないわけじゃないから、適当に切り上げるよ。」
「うん、わかった。じゃ、お疲れ様。」
「お疲れ様です。」
こうして、彼女たちが出て行くと、俺はオフィスにひとりになった。
(また、みんなに気を遣わせてしまったな・・・。)
フッと1つ息を吐いた。
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