First Last Love

〝リリリリリー。リリリリリー〟

「……えっ……」

俺はスマホのアラームをガシガシとタップして止めた。夢の淵から覚めるのがもったいなく、どうにかもう一度夢の続きに戻ろうと努める。

「無理なんだよ、こういうのって……」

のろのろとベッドの上に上半身を起こす。

めちゃくちゃ懐かしくて気分のいい夢だったのに、あともうちょっとのところでこいつに起こされた。
手にしたスマホに向かってため息が落ちる。

まあ、夢ってなぜかこういうもんだ。

中高生の頃によく見たエロい夢でもたいていいいところで目が覚めて、どうにかもう一度寝ようとするけどそれはかなわない。

それにしても不思議だな。

なんだって今さら、あんな小学校時代の夢を見たんだろう。
もう、あれから十五年くらいは、経っているんじゃないだろうか。

月城一颯(つきしろいぶき)……か」

 小学校の五年、六年が同じクラスだった明るくて元気のいい女の子で、じゃれ合うような気安い仲だった。

……そう、それが、俺の初恋の相手。

まったくすれていなかった、純朴な頃の俺の初めての恋で、夢に出てきたキャンプファイヤーでのフォークダンスの時の感情は今でもよく覚えている。

自分で自分の鼓動の速さに驚きすぎたからだ。
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