First Last Love
そもそも俺の存在をまるで認識していないように見える。もしかして? と、頭の隅にも浮かんでいないらしい。
そう考え始め、それこそ今さらだけれど、村上健司、とフルネームを名乗って反応を伺ってみたりした。
ちょうどその時に、月城と目が合っていたけれど、その瞳にほんのかすかな動揺も疑念も浮かばなかった。
落ちる。マジで落ちる。
俺は明らかに急速に沈んでいき、月城に「どうかしましたか?」と心配される始末だった。
それなりに仲がいいと、俺は自惚れていたのか?
それとも人違い?
いや、絶対にこの子は小学校時代の一時期を一緒に過ごした初恋の相手、月城一颯に間違いない。
最後の最後、二人でスタバの外に出て、駅に向かう月城と逆方向に帰る俺は、別れる瞬間になってようやく気持ちを固めた。
「あのさ。もしかして月城さんって西越小学校だったんじゃない?」
一瞬、月城はきょとんとしたように見える。
数秒、間を置いてから「うん、そうですね……」となんだか歯切れの悪い返答をした。