First Last Love

◇◇村上健司◇◇ 邂逅2◇



「副社長、ここんとこおかしいですよ? しっかりしてくださいよ。一ノ瀬社長が海外事業担当で、最近アメリカに行くことが多いんですから。日本の牙城《がじょう》は副社長に守ってもらわないと」
「はあ。そうだな」

 今日のスケジュールを伝えにきた浅見さんが、デスク前に座る俺を覗き込む。

 いつの間にうちの会社はこんなに拡大してきて、俺に大仰(おおぎょう)な肩書きがついたんだか。起業当時はまだみんな大学生だった。


社長だの副社長だの取締役なんておこがましいわ、照れくさいわ、で名乗れず、体外的には代表とか副代表、チーム長とかで通してきたのに……。

 いつの頃からか、それでは体裁が整わず、起業時の十人で話し合って細かく名称や部署名を整理した。

 ナツの海外用の名刺なんかCEOと印字してあり、仲間内の飲みの席ではギャグ扱いだ。

「キャリア採用の最終面接まで残った方々のエントリーシート、一次、二次面接のデータをPCに送っておきました。最終面接は13時です。お願いしますよ、副社長」

「あー、ありがと。浅見さん」


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